月
14
6月
2010
リソさんの最新理論である「9つの領域」についての続きです。
以下は、エニアグラム研究所本部HPに掲載されている論文の抜粋です。
システムというのは、やっかいなものです。
全体的な観点から何らかの有効な予測を立てるには、
次のようなことを知る必要があります。
1. システム全体を成り立たせている基本要素とは何か
2. そうした各要素のさまざまな状態
3. それぞれの要素がどのように相互作用するか
4. 各要素およびシステム全体からのさまざまな
「インプット」と「アウトプット」
5. システムを包摂するより大きな文脈
定量化するにせよ、直観で得るにせよ、データ収集は
骨の折れる作業です。
ひとつの構成部分を過大評価したり、過小評価することにより、
重要な要素を見過ごしていたり、間違って認識していたとしても
わかりません。
こうした歪みというのは、個人的背景や無意識の偏見により、
避けがたいものです。
理想的にいうと、システムの研究というのは(とくに人間と
関係のあるものである限り)、できるだけシンプルで明確である
必要があります。
それと同時に、その複雑さも十分認める必要があります。
実際、システム理論における主な議論というのは、
システムが何をするかということについて、
そもそも確実に予測するために必要なデータのすべてを入手する
ことは可能かどうかということに関わっています。
「全体は部分の集合よりも大きい」(アリストテレス)と
いわれますが、部分には部分が含まれるため、少しでも複雑な
場合、おそらく確信をもっていうことはできないのです。
皮肉なことに、システムをフルに理解するには、
すべての部分についてのあらゆるデータを知る必要があります。
それを取得するには、研究しているシステムの複製をとる必要が
ありますが、それは不可能です。
たとえば、個人が特定の環境で何をするかということを確実に
予測するには、その人についてすべてを知る必要があります。
所与の瞬間にその人が受けるあらゆる影響も含めて。
すなわち、ある人が自分自身についてもっている情報よりも
多くの情報を得なければならなくなるのです。
したがって、人の行動についてかなりの確度で予測すると
いうのは、ほとんど不可能です。
こうした問題を踏まえ、システム (とくに、規模の大小を問わず、
チームや組織といったグループやその多数の活動)について
研究している者は、常にこうした実際的かつ哲学的問題を
切り抜ける方法を探しているのです。
システムを包括的に考える方法はあるはずです。
すなわち、システムを成り立たせている個々の部分を測るのではなく、
システム分析が必要なのです。
「9つの領域」を使った方法は、対人間で起きる問題に対する
システム理論のアプローチが抱えている実際的な問題の多くを
克服します。
なぜなら、原型的な組織構造を提供するエニアグラムに基づいたもの
だからです。
(続く)